• 2020.02.08 Saturday
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目の保養に。


京都奥嵯峨にある祇王寺の庭です。




平家物語に登場するお寺でもあります。


寿命が1日といわれる沙羅双樹の花がちょうど咲いていました。

落ちてもなお美しいとはこのことです。

梅雨のさなかで、朝の天気予報では「横殴りの雨が、、、」とのことでしたが、日頃の行いがよいせいか傘を開くこともなく心地よい散策を楽しめました。

阪急嵐山駅を出発してこの時点で8,800歩。足がつりそうになってきたので、友達お薦めの鯛茶漬けをいただいて、嵐山を後にしました。




小さなやすらぎ
今年も咲きました。
庭のサボテン。

日曜日に開花態勢に入ったつぼみを発見。

月曜日は変化なしで、火曜日の朝。

よく見ると真ん中に人手のようなものが、、、

そして本日、水曜の朝。


たぶん今年はこれで終わりですが、自分が気に掛けている花の開花は、栄養ドリンク3本分くらいの効き目があります。

こちらのサボテン。私が小さい頃に一株植えたのが始まりだったそうですが、どこまで増殖を続けいつまで咲き続けるのか、私より長生きしそうな気がします。



飯嶋和一氏「狗賓童子(ぐひんどうじ)の島」を読んで。

新刊で出て早3か月、つい見逃していた。なかなか懐具合と時間が限られて新刊書は避けてきたのだが、飯嶋和一ファンとしてはそうは言えないし、その割には実は見逃していたという情けない理由もあるのだが。

前刊「出星前夜」から6年が過ぎたことになる。540数ページに及ぶ大作であるが、滅多に取らない休日を丸1日費やして読み終えたが、仕事のはざまでかなり寝不足であるし、またしばらくは読み直す気力が起きない疲労感もある。作家の魂の重さ、小説の時代における民衆の生活の重苦しさが読み手の重圧になるのか?それはそれで飯嶋作品の受け手は皆がそうかとも思う。
 

01:舞台は島根県隠岐の島。

島の名前くらいはほぼ知っているが、まさか大小百八十ほどの島々の集合を言うことは案外と知られていない。江戸時代は4つの島にしか人が住まず、最大の島は島後(どうご)と呼ばれた。その島に伝わる伝統の儀式に“狗賓童子”という習いがある。題名はここからきているが、誰も知れないような微細な着眼点である。

ここは古代より流刑地としてのネガティブな面を持つが、江戸時代は北前船の寄港地など交易が盛んにもなった。良く知られるのは室町政権前の混乱期に後鳥羽天皇が流刑されたのが隠岐の島だったことだろうか?江戸時代は松江藩の領地で米の取れない島は年貢を銀で代替えして収めるなど、圧政に苦しんでいた。
 

02:大塩平八郎の乱とつながる。

天保年間は歴史に残る飢饉による一揆が多かった時代。天下の台所、大阪も米の不作で相場が荒れ、一部の蔵前商人と武家の癒着で市民生活は困窮を極めた時代。不正を黙認できず、代官職でありながら近在の地主と合力して一揆に出たのが大塩平八郎で、歴史の授業でも触れられないことはない。

主人公は大塩平八郎の乱に加担した河内の大地主:西村七右衛門の息子の物語である。父親が犯罪者の烙印を押されたがため、13歳にして隠岐の島へ流刑となったが、元より理不尽な乱であっただけに島民の思いは複雑で、むしろこの息子=常太郎を温かく迎え育てていくのである。
 

03:常太郎はやがて島の医師として成長。

流人とはいえまだ子供であり、預けられた庄屋の厚意もあって寺子屋の見習い助手や医師の手伝いから島での生活が始まったが、常太郎は狗賓童子に選ばれたことで、新たな生き方を得て島の医師として島民に貢献するという経緯をたどる。とくに当時は罹患の子供の半数が死んだと恐れられた麻疹治療、交易の船乗りから伝染するチフスとの戦いが中心となっていく、常太郎やその仲間の生き様が描かれていく。

幕末を迎え外国船の来襲におびえる松江藩の愚策と島民の苦悩が緊迫の時代をしめしていく。松江藩は無策のまま維新を迎え、辛くも生きながらえるが島民には恩典はない。常太郎も22年の歳月にようやく赦免の許しが出て、一旦、河内の実家=乱への加担で財産はすべて没収され没落しているのだが、老いた母親を見舞いに帰ることとなる。その瞬間を作品では末尾としている。
 

04:「大塩平八郎」続きか?そこに焦点があった。

先般の社内ブログに葉室麟氏「霖雨」のことを書いたが、実はこれも大塩平八郎の乱が物語の材料にあった。飯嶋氏「出星前夜」でも島原の乱がテーマながら、根底は市民を助ける医師の誕生へとつながる。

大塩平八郎の乱は義挙でもありながら、首謀者は打ち首、財産没収。孫子は20年ほどの流刑や逼塞を余儀なくされる。

庶民に大人気で心ある大名からも支持された、忠臣蔵でも浪士の家族は20年ほど罪人扱いで苦渋を飲まされている。社会正義というきれいごとは他人話で、当事者には家族の犠牲という茨の道でもあるわけだ。
 

05:やはり「飯嶋和一」である。

飯嶋氏の著書内容の重さは、時代の権力や横暴に抗えぬ無常さ、しかしまた希望も織り交ぜた、生き様(=有名な人ではなくある意味、市井に存在し得る)の見事さから由来する。できそうで、やはりできないかもしれないが、でもそうありたいと願える生き様である。

6年の時を得て、誰も目を付けないようなテーマでまた真価を問う飯嶋氏の作品。すでに他の時代小説とは領域が違うので孤高の境地とも言えよう。平均4〜5年で1冊の飯嶋氏、ついに今回は6年である。

日本が世界に冠たる経済大国である以上、優先すべき国を保つ手段は金融資産の増大ではあるし、庶民など格差社会に怯え、金融の魔力から解き放されるはずもない微小な財産しかない。

作家としての収入はいかばかりか?そんな愚考を棄ておくほど、題材から作家の読み手へ伝える生き様の凄味を、ただただ感じざるを得ない。


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